「自分英語リスト」を作る
日本人なら誰でも簡単に英語が話せます。「トラベル英会話5つのキーワード」や「場面別の決まり文句」で示したセンテンスやフレーズに、難しいところは一つもなかったと思います。ということは、中学で習った範囲のボキャブラリー vocabulary で十分だということです。
もうこれ以上、無理してボキャブラリーを増やす必要はありません。それよりも、もっと必要なことがあります。それは、ハワイ出発前に、「自分英語リスト」を作ることです。
「自分英語」とは、旅をするにあたって、自分が必要とする英単語のことです。たとえば、あなたは飲み物は何がお好きですか? コーヒー coffee、紅茶 tea、ウーロン茶 oolong tea、緑茶 green tea、オレンジ・ジュース orange juice、赤ワイン red wine、白ワイン white wine、ビール beer、ウイスキー whisky……と、飲み物は多種多様です。しかし、このなかで、日頃あなたがよく飲むのは何ですか?
あなたがお酒を飲む人で、ビールが好きなら、レストランで食事するとき、まずビールを注文するはずです。とすると、上にあげた飲み物のうちのほとんどの単語は必要がなくなります。あなたはただ、英語でビールを「ビアー」と発音し、自分の好きな銘柄、たとえばバドワイザー Budweiser が言えれば事足ります。
旅行会話本には、レストランの場面で、飲み物のボキャブラリーなどがズラッと並んでいますが、それをいちいち覚えたところで、英語をよりたくさん話せるようにはなりません。ビール好きな人は、オレンジ・ジュースを注文しないでしょう。英語でオレンジはアクセントがいちばん前にあり、オゥリンジと発音することを勉強しても、あなたがオレンジ・ジュースを飲まないのでしたら、その知識はまったく役に立ちません。
ハワイに行くのだから、できるだけたくさんのトロピカル・ドリンクを楽しみたいと思われる方は多いでしょう。そういう方は、マイタイ Mai Tai とかチチ Chichi、ブルーハワイ Blue Hawaii などを知っていた方が、楽園ライフを満喫 enjoy できます。
つまり、これが「自分英語リスト」です。この「自分英語リスト」は、飲み物、食べ物に限らず、買い物、行きたい場所など、あなたのライフスタイル全般に及びます。ハワイ出発前に、これを作っておけば、英語で心配する必要などありません。英会話本を開いて、決まり文句をたくさん覚えるのは時間のムダというものです。
レストランでの決まり文句によく出てくるのに、
What do you recommend ? おすすめの料理は何ですか?
とか、
What's the speciality of the house ? この店の自慢料理は何ですか?
などがありますが、「自分英語リスト」でステーキを食べると決まっているなら、こう聞くのは単に英語を話すためだけの無意味な会話となってしまいます。また、聞いたとしても、お店の人の英語が聞き取れなければ、バツの悪い思いをすることになってしまいます。
ハワイでの英会話の第一歩は、ともかく気楽にやること。そして、ハッキリと相手に意思を伝えることです。
もう一つ。英語でハワイを楽しむのに、重要な点があります。
それは、旅の主役はあなたということです。これは、英語を話す場合も同じです。ハワイで英語を使うとなると、その場所はほとんどがホテルかレストラン、交通機関、お店などで、相手はそこの従業員ということになります。ということは、もし、あなたが英語を使ったとしても、何ら気後れする必要はないということになります。
日本人は英語が苦手という先入観にとらわれすぎて、どうしても英語を話すときに気後れしてしまいます。通じなかったらどうしよう? えぇと、何て言えばいいのだろう? とあれこれ考えすぎてしまいます。
しかし、あなたの英語がどんなに間違っていようと、あるいは発音が英語らしくなかろうと、困るのはあなたの方ではなく、あなたの英語を聞いて理解しなければならない従業員の方なのです。
買い物に立ち寄った店で、
May I help you ? 何かお手伝いいたしましょうか?
と微笑みながら近づいてきた店員さんに、何か探し物があるなら、
I'm looking for ~ ~を探しているんです
という言葉が出てこなくても気にする必要はありません。I want ~であろうと、 I need ~であろうと、ともかく意思表示さえできれば、その後の買い物はできてしまいます。
そして、「自分英語リスト」をお持ちなら、その中にある買いたいものを告げればいいのです。もし、その発音が変でも、それがわからなくて困るのは店員さんですから、おそらく何度も聞き直してくるでしょう。
ハワイのお店の店員さんは、みな親切です。ハワイは観光産業で成り立っているので、店員教育はしっかりしています。また、ティップ制度、成果給制度があるので、従業員たちも必死なのです。接客態度が悪ければ、たちまち収入にひびいてくるのですから、フレンドリーな態度には理由があるわけです。
つまり、ハワイでは、
The Customers Is Always Right.
顧客はいつも正しい = お客様は神様
なのです。
旅の主役は、あなたです。そして、英語を話す主役もあなたです。このことがわかっていただければ、英語ビギナーにとって、ハワイは本当の意味で楽園です。